前歯部欠損・インプラントの技工作業について(2005〜2010)

インプラントを利用した欠損歯の修復治療は、可能な限り患者さんのご負担がすくなく機能的にも審美的にもメンテナンスのうえでも必要十分な再建修復が達成されることを目指しております。 関連修復物の製作は、武蔵野市吉祥寺の歯科技工所、(有)アペックスにお頼みしています。 以下の症例は担当医(小笠原)によるものですが、臼歯部にくらべ難易度の高い前歯部位の歯冠修復を非常に精密な水準で達成しております。 
*ここでは4種類のフィクスチャーに対する様々な方法を駆使した上部構造の例と、特殊な技工器材に拠る最近の製作例をお見せします。 なお、前歯の修復は基本的に口腔内写真撮影後デジタルデータのラボへの提供で行われていますので、いわゆる技工士立会いのシェードテイキングはしておりません(特別な配慮で製作される場合は別途費用が掛かります)。 
 また、顎骨の吸収が顕著な多数歯修復においては(形成外科的な高度な移植手術でもしない限り)、歯冠部の形態付与を健全歯に近づけるには限界があります。
*白枠の画像は別ウィンドウで拡大されます。

 

 

T)前歯単独歯欠損部位のインプラント修復 

 

1) 既製サイドスクリューシステム+メタルボンドクラウン
2) 貴金属カスタムメイドアバットメント+メタルボンドクラウン
3) ポーセレン焼き付けカスタムメイドアバットメント+オールセラミッククラウン(OPCプレスセラミックス)
4) アバット&クラウン一体型メタルボンドクラウン(舌側スクリュー固定)
5) 既製角度付きチタンアバットメント+メタルボンドクラウン
6) ジルコニアアバットメント+オールセラミッククラウン(e-maxプレスセラミックス)
7)  ポーセレン焼き付けカスタムメイドアバットメント+ジルコニアクラウン
8) アバット&クラウン一体型ジルコニアクラウン(舌側スクリュー固定)
9) ジルコニアアバットメント+ジルコニアクラウン
10)既製角度付きチタンアバットメント+メタルボンドクラウン(歯肉色セラミック付き)

 

1.歯根ハセツにより左側の中切歯の抜歯がされた後、インプラントで欠損部の再建がおこなわれた例。 炎症があり表側の顎の骨が失われたため、骨を回復する処置をインプラント植立時におこなっています。 修復方法は2重のスクリューシステムを使ったものです。 歯冠修復はメタルボンドで既製のサイドスクリューシステムが利用されています。

インプラント/前歯中切歯欠損/治療前

インプラント/前歯中切歯欠損/植立後

インプラント/前歯中切歯欠損/フィクスチャー印象前

治療前の両側中切歯

インプラント植立4ヶ月の状態

同部位型取り前の状態

模型/インプラントアナログ

欠損歯肉の歯頚線

Strauman synOcta TS abutment

インプラント部と完成した隣接歯

同前面からの状態

インプラント体と修復物の固定装置(アバットメント)

synOcta TS アバットメントの固定

TSアバットメント&スクリューホール

歯肉縁とTSアバットメントスクリューの適正位置

固定装置はネジ構造をしています

トランスバーサルスクリューとTS六角スクリュードライバー

クラウン内面とスクリュー

TSアバットメントへのトランスバーサルスクリューの締付け

固定装置にさらに冠がネジ固定

冠内面のネジ構造

TSアバットメントへのトランスバーサルスクリューの締付け

舌側よりスクリュー固定された上部構造

フィクスチャーへのTSアバットメントの固定

スクリュー固定された修復物

スクリュー固定されたアバットメント

アバットメントへの外冠スクリューの固定

インプラント/前歯中切歯欠損/治療後

インプラント/前歯中切歯欠損/X線写真

口腔内で冠のスクリュー固定

修復完了時

治療開始時と治療中のX線写真

*

*

*

同様の症例( 欠損部骨造成と小帯切除後、歯頸線を対称性に整え両側中切歯メタルボンド修復)


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2.歯根ハセツにより右側の中切歯の抜歯がされた後、骨の状態が良く1週間後に歯肉を開かないで植立されたインプラント・フィクスチャー。 (80歳女性)。 カスタムメードの白金の内冠にメタルボンドクラウンを仮着する方法が取られてます。

インプラント/前歯中切歯単独欠損/治療前

歯根ハセツで抜歯された中切歯

抜歯当日

治療前の右側中切歯

抜歯された中切歯

抜歯当日

インプラント用テンポラリークラウン

テンポラリークラウンによる歯肉形態の調整

NobelReplace印象用コーピング

インプラントに固定される中切歯の仮の歯 口腔内での仮の歯;歯肉の形態を整えるはたらきがあります

型取り直前の状態

模型にトランスファーされたアナログ

ガム付きの作業模型

メタルボンドクラウン(陶材焼付け冠)

型取り後製作された作業用模型

同前面からの状態

歯冠修復物の完成

カスタムメイドの内冠と外冠(クラウン)

内冠とクラウン

内冠とクラウン(舌側面)

修復物は内冠を介してインプラント体に固定されます。

修復物と内冠

フィクスチャーへの内冠の固定

内冠へのクラウンの仮着

インプラント/前歯中切歯単独欠損/治療後

内冠の装着

修復完了時


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3.歯根ハセツにより右側の中切歯の抜歯がされた後、即日にインプラントが植立された症例。 自然感のあるオールセラミックス冠(高強度のOPCプレスセラミックス)を使用するため、金属色を透過させないようアバットメントにもセラッミクスが焼き付けております。 ジルコニアアバットメントより自由度があるうえ、ほぼ同様な効果がありますので角度つきの細いアバットには特に有効です。 *現在ならジルコニアアバットと歯冠が一体となった製作もしております→

インプラント/前歯中切歯欠損/治療前

インプラント/前歯中切歯欠損/フィクスチャー印象前

インプラント/前歯中切歯欠損/フィクスチャー印象前

治療前の左側中切歯

インプラント部の治癒像

同前面観

NobelReplace印象用コーピング

外冠(オールセラミッククラウン)

表面にポーセレンを焼結した内冠

印象用トランスファーコーピング

オールセラミックスクラウン

アバットメントとクラウン

外冠(オールセラミッククラウン)

模型上のクラウン前面観

模型上のクラウン咬合面観

模型上のクラウン

同内側面

明るい色調のアバットメントとファイバーコア

アバットメントとスクリューホール

クラウン装着時舌面観

口腔内のアバットメント

同下面より

クラウン装着時

インプラント/前歯中切歯欠損/治療後

インプラント/前歯中切歯欠損/口元

クラウン隣接形態の微調整

クラウン装着時

口元

クラウン形態修正時


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4.歯槽骨の吸収した左側中切歯欠損部にインプラントが植立され前面の骨を回復する処置後、スクリュー一体型のメタルボンドクラウンで修復された症例(40代男性)。  *現在ならジルコニアアバットと歯冠が一体となった製作もしております→

インプラント/前歯中切歯単独欠損/治療前

吸収の顕著な唇側歯肉

模型にトランスファーされたアナログ

治療前の欠損状態

治療前唇側面

精密作業模型

模型上のクラウン前面観

ゴールドアダプトエンゲージング使用のメタルボンドクラウン

クラウンとスクリュー

模型上に製作されたクラウン

唇側面

側面

クラウンとスクリューホール

クラウン装着時舌面観

インプラント/前歯中切歯単独欠損/治療後

舌側面

舌側面とスクリューホール

クラウン装着時唇側面

クラウン装着2年後

 

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5.歯根ハセツにより唇側歯槽骨がすべて吸収した右側側切歯欠損部。 口蓋側の薄い骨にインプラントが植立され、既製システムにある角度付き(アングル)アバットメントを利用した修復症例。  

インプラント/前歯側切歯単独欠損/治療前

模型上のアナログの方向

Spline17度角度つきアバトメントとクラウン

印象採得時の状態

作業模型とフィクスチャーの傾斜

既製アバットと修復物

フィクスチャーへの既製アバットメントの固定

アバットメントへのクラウン仮着

インプラント/前歯側切歯単独欠損/治療後

フィクスチャーに固定されたアバット

治療終了時

前面観

 

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6.ジルコニアアバットメントと高強度のプレスセラミックス(e-max)によって修復された犬歯先天欠損部。 乳犬歯の脱落後すぐに所要のサイズのフィクスチャーが植立され即日仮の歯を装着し歯肉形態を整えたもの。

治療前の唇側面

治療前の咬合面

治療前のスタディー模型

欠損部使用インプラントの選択

治療中のX線写真

インプラントに固定された仮の歯

印象採得時の状態

作業模型とフィクスチャー

作業模型とジルコニアアバットメント

e-maxオールセラミック冠

ジルコニアアバットメントと修復物

ジルコニアアバットメントと修復物

修復物装着前の欠損部

適正なトルク値でアバットの固定

フィクスチャーに固定されたアバット

クラウン装着時の咬合面

クラウン装着時の対合関係

治療終了時

 

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7.歯列不正で限られたスペースへの修復治療(60代男性)       細いインプラント体(  3.3mmX12mm )への
   セラミックス焼きつけ内冠とジルコニアクラウンの応用

インプラント/前歯側切歯単独欠損/フィクスチャー印象前

Strauman ナローネック・インプラント

シェードテイキング

印象採得(型取り)前の状態

印象採得前の状態

修復物の色合わせ

表面にポーセレンを焼結したNNセラミック用フレーム

内冠とスクリュー

内冠上のジルコニアクラウン

アナログに適合した内冠

内冠咬合面

アナログと修復物

ジルコニアクラウン表面

ジルコニアクラウン内面

フィクスチャーへのアバットの固定

修復物前面

修復物内面

装着された内冠

アバットメントへのクラウン仮着

クラウン装着時舌面観

インプラント/前歯側切歯単独欠損/治療後

最終修復物の前面観

最終修復物の咬合面観

インプラント/前歯側切歯欠損/X線写真

治療開始時と治療後のX線写真


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8.ZirkonZahn社の→HPのミリングマシンを利用したジルコニアアバットメントと歯冠部が一体となっオールセラミックスによって修復された中切歯欠損。 口蓋側からのスクリュー固定で着脱が自在なうえ歯肉緑下でアバットと修復物のギャップはありません。 

治療前の歯根ハセツ歯

抜歯後隣接歯に仮の歯を接着

この時期インプラント植立

仮の歯のための印象採得時

インプラントに固定された仮の歯

作業模型と唇側面

作業模型とフィクスチャー

作業模型と修復物舌面スクリュー

作業模型と修復物唇側面

舌面スクリュー

修復物とスクリュー/ドライバー

適正なトルク値でスクリューの固定

修復物とスクリューホール

ゴム質材料による1次封鎖

光重合レジンによる表面封鎖

スクリューホールのレジン封鎖

クラウン装着時

最終修復物の前面観

治療終了時の口元

治療開始時と治療後のX線写真

*

*

*

同様の症例

治療前の歯根ハセツ歯

 

抜歯後骨の保存処置と仮歯接着

 

作業模型

 

修復物とスクリュー/ドライバー

 

修復物をスクリュー固定

 

最終修復物の前面観

治療終了時の口元

 
     
 

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9.典型的なジルコニアアバットメントとジルコニアベースのオールセラミック冠。 審美性を第一に考えた若い女性の中切歯単独修復においては透明感があり明るく複雑な色調の再現には、アバットとクラウンの光透過性にくわえセラッミクの修正と焼盛回数が増える可能性から、歯冠部は維持装置との一体型をとりません。

 

歯根ハセツにより抜歯済の中切歯

隣接歯に仮の歯が接着

インプラント植立と唇側への骨造成

フィクスチャーの安定

インプラントに固定された仮の歯

中切歯生え際の歯肉の成熟

最終修復のための印象採得

シリコン印象とコーピング

作業模型とアナログ

シェードテイキング

製作技工士立会よる再確認

ジルコニアアバットメントの固定

アナログとアバットメント

アナログとアバットメント+クラウン

作業模型とアバット舌側面

ジルコニアアバットメント

最終修復物

修復物側面観

ジルコニアクラウン

ジルコニアクラウン

ジルコニアアバットメントとクラウン

ジルコニアアバットメントとクラウン

ジルコニアクラウン舌側面

ジルコニアクラウン内面

最終修復前

アバットメント装着時

アバットメント装着時

クラウンの試適

レジン系仮着セメント

クラウン仮着時

仮着セメント余剰部を硬化

最終修復物舌側面

最終修復物セット時

最終修復物セット時

治療後の口元

前面観(装着半年後)

側方観(装着1か月後)

 

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10.歯肉色セラミックで対応したもの(40代男性)

唇側のアバットメント位置

歯肉色セラミックを利用したクラウンの立ち上がり

骨吸収が顕著

クラウン基底部にピンク色のセラミック付与


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11.下顎前歯単独欠損部の修復

治療前(前面に骨造成)

印象採得(型取り)前の状態

作業模型に組み込まれたアナログ

修復物前面

装着された内冠

最終修復物の前面観

印象採得(型取り)前の状態

印象採得前の状態

作業模型に組み込まれたアナログ

内冠の固定方向

修復物前面

隣接歯にジグを用いスクリュー固定

適切なトルク値での固定

装着された内冠

ネジ挿入部の封鎖

最終修復物の前面観

最終修復物の咬合面観

治療開始時と治療中のX線写真

 


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U)前歯複数歯欠損部位のインプラント修復

 

12.典型的なインプラント利用の前歯ブリッジです。 ムシバと歯根ハセツにより前歯ブリッジの支えとなる2本の歯を失なったケースで、同抜歯部にインプラントが植立され再修復がおこなわれた症例。 歯槽骨の吸収が顕著で残存した薄い骨を広げる処置がされています。 周辺歯には通法の修復がおこなわれています。 

治療前の前面観

治療前の咬合面観

印象前の状態

印象前の状態

作業模型

完成した修復物

メタルボンドクラウンとブリッジ

アバットメント装着時

クラウン装着時の咬合面観

同前面観

治療後の口元


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V)前歯多数歯欠損部位のインプラント修復

 

13.上顎保存不能残存歯を抜歯とインプラント植立を小範囲ずつ行い、仮の歯を改変しながら入れ歯を使用することなく、最終的に全歯欠損となった状態で全顎的な修復治療をおこなった症例。 内冠に対してフルアーチのセメント固定(仮着)の修復物を製作。

内冠を印象した模型に製作された金属フレーム

同咬合面観

試し入れ前の金属フレーム

内冠に試し入れされた金属フレーム

同咬合面観

金属フレームにセラミック築盛

同咬合面観

試し入れ前の最終修復物

仮着された最終修復物

同前面観

治療後の口元

本人の意向で前歯形態を微調整


 

 

 

14.上顎前歯欠損部位スプリットクレストで広げた顎堤への多数歯修復  オクルーザルスクリュー(咬合面スクリュー)と内冠へのサイドスクリューの併用 

治療前

インプラント植立終了後

印象前の状態

精密なポリエーテル印象

製作された作業模型

製作された内冠

内冠に付与されたスクリュー

前歯部内冠

内冠固定用のジグとドライバー

内冠位置固定用のジグ

他部位アバットメントとの位置決め

レジンによる形態付与

レジンによる形態確認と色合わせ

完成した歯冠修復

同咬合面

同内面

サイドスクリューの確認

咬合面スクリューとサイドスクリュー

完成した歯冠修復前面観

装着前の口腔内

装着前の口腔内

前歯部内冠へのジグの固定

スクリューの固定

トルクレンチでの締め付け

前歯部内冠の装着完了

同咬合面

歯冠修復物のスクリュー固定

最終修復物の装着時

治療後の口元


top

 

15.上顎前歯欠損部位から臼歯部位にかけての多数歯修復  Key&keyway、オクルーザルスクリュー(咬合面スクリュー)と内冠へのサイドスクリューの併用 咬合高径の挙上

治療前

インプラント植立終了後

暫間的な修復

前歯部フレームのの適合確認

臼歯部位の製作

Key&keyway・咬合面スクリュー・サイドスクリュー

傾斜埋入された臼歯部位

臼歯部修復の固定

最終修復物の咬合面観

最終修復物の前面観

治療後の口元

治療後のX線写真


 

 

 

16.上顎前歯から小臼歯欠損部位の多数歯修復  残存骨形態によりインプラント植立位置が制限されたため、歯肉色セラミックスの使用で歯肉形態の不均等を目立たなくするように修飾。 

型取り(印象)前

インプラントの植立位置(高径に差)

プラスティック歯をまず叩き台に!

口元のバランスの確認

口元のバランスの確認

歯肉色をガイドにて検討

最終修復のため内冠の修正

歯の色合いは周辺歯を参考

内冠と最終修復物

最終修復物の前面観

ジグを使い内冠の固定

内冠の咬合面観

治療後の口元(開口時)

治療後の口元

治療後の前面観

治療前後のX線写真

 


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17.上顎前歯から小臼歯欠損部位の多数歯修復(大臼歯部位は義歯にて修復)。 前歯部位を内冠と最後方歯を咬合面スクリューで固定。  口元の回復に関わる歯冠形態の決定に複数回の仮の歯の修正や、セラミックス築盛後のテストを繰り返し修復物を完成。  咬合面スクリュー部はコンポジットレジンにて封鎖。

型取り(印象)前

精密作業模型

内冠製作前に仮歯で口元の確認

前方部分は貴金属製内冠

フレームにセラミック築盛

修復物舌側(義歯受容部の設計)

試し入れ前の未完成修復物

側貌口元の確認

最終築盛形態修正後の修復物

修復物舌側面

咬合面スクリュー部位

復物物前面観

スクリュー挿入部位

ドライバーの挿入方向

ドライバーの挿入方向

完成した修復物前面

完成した修復基底面

治療後の咬合面観

治療後の口元(前面観)

治療後の口元

 


top

 

 

 

18.下顎前方欠損部位への多数歯修復  複数の内冠へのサイドスクリューで上部構造を固定しています。

顎堤とフィクスチャーのX線画像

印象前の状態

同咬合面より

精密なポリエーテル印象

製作された作業模型

製作された内冠スクリューシステム

内冠スクリューとドライバー

上部構造フレームワーク

上部構造とスクリューシステム

セラミックス築盛後

上部構造のスクリュー固定

ジグによる内冠の位置決め

ジグを介した内冠の固定

精確に装着された内冠

内冠とスクリュ−ホール

上部構造を内冠にスクリュー固定

装着完了後の下顎歯冠修復

上顎の義歯維持装置

上下顎修復(下顎後方は義歯)

治療終了後の口元


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* 直近(2010年)のケースにはい金属ともいえるジルコニアブロックを(熱処理後の収縮量を完璧に補正し)精密に削りだすシステムを開発した、イタリアのZirkonZahn社の→HPのミリングマシンを利用したオールジルコニアのケースも増えています。 従来法に頻繁にみられるジルコニアフレーム表面のセラミックのハセツを防止したり、内冠(アバットメント)同士の方向の難しいケース、厚みの取れないケースの製作に大きなアドバンテージを有しています。 このシステムは 所長の檜田氏がイタリアに何度か研修に出向き習得したものですが、まだ日本では数件のラボに導入されたばかりです。 もちろん審美領域では従来法のようにジルコニアフレーム表層にセラミックを焼成して自然感をもたせるのが可能です。 youtube

 

ZirkonZahnのミリングマシン

 

ZirkonZahnのシステムで製作された内冠と上部構造

 



 



ジルコニアクラウンとスクリューシステムを一体化した修復物
(上:Strauman SynOcta  & Solid Abutment 下:Nobel Replace Select fixture & 内冠)


前歯部への応用;フィクスチャーからセメントラインなしの修復を可能としたジルコニアクラウン

 
 

 

アタッチメントを組み込んだジルコニアフレーム(インプラント以外のケース) 



 

* 基本的に金属フレームの場合一体的に製作されますが、微妙な誤差が発現した場合は必要個所をセパレートしたうえ、高出力のアルゴンレーザーを使用して精密に金属体を再固定することもあります。 フレームの修繕や改変にも大きな力を発揮します。

 
アルゴンレーザー

利用例) 上顎前歯部位インプラントフィクスチャー1本がスクリューの緩みから治療10年目でハセツ。他部欠損部位に新たにインプラントを植立したうえ、既存のフレームを再利用して修復物を精密に修繕したもの。

左側中切歯部が新しい固定部

既存フレームにコーピングを固定

ピックアップされたフレームワーク

同基底面

模型の製作

スクリューを締めレーザーで溶接

レーザーで溶接後に蝋付け

スクリュー固定の確認

最終修復物の基底面

最終修復物の前面観

治療後の口元


 

 

 

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インプラントの補綴修復のポイントまとめ

 

*インプラントの補綴修復は印象採得がすべてを決定します。 模型が正しければストレスなく修復操作は進行します。 再製作が入れば患者さんのみならず担当技工士にも大きな負担がかかりますので、特に多数歯の修復であれば印象だけは完璧を期すべきでしょう! 
*印象トレーの要件や接着剤、印象材の使用法は一般歯牙のクラウンブリッジにおける精密ラバー印象法に準拠しますが、精度が求められる上部構造に連結が必要なケースでは印象コーピングの周りに柔らかい支台歯のマージン用印象材を使ってはいけません。 スクリューホール等の必要ない箇所への印象材の侵入が見られるうえ柔らかい材質のため、肝心の模型へのアナログのトランスファーに誤差が発生しやすくなります。 オープントレー法では印象材内でのコーピングの遊びにつながり、クローズドトレー法ではコーピングを印象材に戻すときに落ち着きが悪いものとなります。
*将来のメインテナンスを配慮した複数個所にスクリューを併用した精密で複雑な修復物製作方法は、いわゆるシリコン系の印象材(型取材料)の使用では達成が困難といえます。 入手が可能でしたら硬度の高いポリエーテル系のImpregumのような印象剤を使われるのが望ましいといえます(いくつかのポイントに細心の注意が施されるのが前提ですが! 歯牙・顎堤のアンダーカットの処理等 またシリコンと違い消毒液への浸漬で変形の怖れあり)。
*3歯(本)以上の場合、印象用コーピングはオープントレーでネジ留めのものを使い(ピックアップ印象)、コーピング同士を(しなやかで永久歪みのほとんど出ない)形状記憶の矯正ワイヤー(角線)で(パターンレジン以上の精度の)即時重合レジンにて固定します。 コーピング同士の位置関係の狂いを最小限にするとともに、コーピングにかかるトレー撤去時の応力によるワイヤーの変形やレジン固定の脱離・歪みが可及的に防止されるようです。 模型作製時のコーピングへのアナログの固定にも誤差が許されませんので、より精密な作業を約束する手段となるでしょう。
*クローズドトレーでトランスファータイプのコーピングを3本以上使用する場合は新品を使いませんと、古いコーピングの傷や角の丸みが印象に戻す時の誤差を惹起させます。 また、クローズドトレー法印象ではコーピング(フィクスチャー植立)の平行性が悪いとトレーの除去時に印象材に変形応力がかかったり、トレーから印象材の部分剥離も起こりえます。 いずれも複雑な作業には向かない精度の模型となります。 それでも内冠セット後もう一度印象をとる程度の仕事なら差し支えありません。 
*精密印象前にフィクスチャーとコーピングの固定に自信がない場合は必ずX線写真にて適合を確認することは常識です。 エキスターナルタイプで歯肉下深い位置でのネジ留めは特に注意を要します。 ヒーリングキャップの締め付けが甘いと、フィクスチャー上に増殖した歯肉がコーピングの適合を阻害します。 コーピングのネジ止め時に痛みがある場合は歯肉の薄片を挟んでると考えましょう。 
*フィクスチャーと印象用コーピング、模型作製用アナログの安定感や精密度は、インプラントシステムに拠って雲泥の差があります。 低価格のシステムは補綴オプションが少ないとともに、口腔内から模型へのトランスファーに誤差が大きいため、どんなに努力してもスクリューを多用した上記のような内容の製作方法は無理といえます。
 


*複数の内冠を利用する連結した修復物の装着には、必ず模型上での内冠の位置関係を記録したジグ(金属で鋳造したものかレジン製)を介して内冠を固定しませんと、スクリューシステムの微妙な遊びに拠り上部構造に浮き上がりが出てしまいます。 このジグはメインテナンス用に正しく保管し無くしてはいけません!

<臨床のTips ; 紛失したり他院の後始末の場合は、@上部構造内面を(硬化後の硬度の高い)ラバー印象をしたうえ、必要とされる複数の内冠が採取されたコピーを作成します。 A所定の範囲にパターンレジンを筆詰みで巻きつけ自然硬化させブロックをつくります。 Bスクリュー部をくり抜き余剰部をトリミングすれば、まずは問題なく内冠の固定用ジグとして使用できます。 なお最初から不適合のものには適用できません!>
*前歯部位では各欠損歯に連続してフィクスチャーを植立した場合は、清掃性の悪化と費用の増大にかかわらず最善の審美性は達成不能か、もしくは軟組織にオーバートリートメントといえるほど複数回の侵襲的な処置を追加する必要に迫られ、結局は患者さんに負担を強いる症例作りのための治療に堕してしまうでしょう。
・ 
*多数歯の修復におけますフィクスチャーの植立は必要ならサージカルステント等を用い、理想的な歯冠修復を予期しておこなわねばなりません。 それでも中切歯部は最も植立が困難で、長期間欠損状態で顎骨の吸収が大きい場合、切歯管や切歯乳頭を避けようとして側切歯方向に変位してしまう傾向があります。 結果として修復物製作時に前歯の形態付与に影響がでますので、両側中切歯部の植立を回避するのも考慮されましょう(側切歯部への植立は必ず確保したい犬歯部と隣接しますのでフィクスチャーサイズの選択がポイントです)。
なおインターネット上には一見綺麗でもプロには見せられない”バケツ冠”のような修復も見受けます
*ステントや術前のシュミレーションは顎堤が優形な場合は非常に役に立ちますが、一般に前歯部ではフィクスチャーより狭い顎骨に植立せねばならない場合も多く、(ステントに頼りきりならず)技工製作時の空間的な歯牙排列イメージや、インプラントシステムにおける連結装置であるアバットメントのヴァリエーションを知悉し、どのような固定様式を選択するかを常に意識して外科処置もおこなわねばならないでしょう。  また残根の位置と本来の理想的な前歯排列は歯牙移動により異なる場合も多く、抜歯部に植立しても必ずしも理想的な当該歯の位置とはならないことが多いようです。 入れ歯が苦手の駆け出しのインプラント屋さんには理解不能でしょうが実際のところは義歯の人工歯排列に近い感覚があります。 ボーンアンカードブリッジに逃げる手段もありますが、患者さんは清掃の簡易さもふくめ通常の歯牙形態が喜ばしいようです。 
*All-on-4のような少数のインプラントによる即日仮修復を前提としたシステムは、前歯の欠損治療の位置づけにおいて患者さんの審美的な欲求を満たすものではありませんので、このページにおいては無視させていただきます。 また傾斜埋入した長大なフィクスチャーは中間部への追加植立を阻害しますし、フィクスチャーやスクリュー部の破損が起これば除去には大きな外科的侵襲を免れないので、金属疲労も考慮すれば数十年間の使用に耐えるシステムではないでしょう。 将来的にはリカバリー処置の危惧される方法論と考えられます。 メーカーの提供するものはすべて正しいことではないのは歯科材料の推移・盛衰をみれば明らかですが、教養レベルの科学的な洞察力(直観)も当てになるものです。 (経済力?や顎骨の状態が良ければ欠損歯数分のインプラントの植立を患者さんに強調する歯科医が、一方でお望みならAll-on-4のようなシステムもありますよと品を換えるのもダブルスタンダードで自己矛盾のようですネ。。!) 
*辺縁骨の吸収がすくなく審美的に優位とされるプラットフォームスイッティング(シフティング)とインターナル・コネクションを売り物としたタイプのフィクスチャーには過大な咬合力に破壊を受けるものも見受けられますので、将来隣接歯の喪失に拠って単独修復がブリッジの支台装置に改変される可能性もあるなら、他の選択肢も考慮すべきでしょう。 またアバットのスクリュー固定にジグを使用しないと位置関係を固定できない(回転防止機構のない)システムは、ジグを失ったり隣接歯の変化があればアバットの取り外し後に再び適正位置に戻すのが回転を伴い難しいものとなります。(最新のシステムには殆どが回転防止機構が付与されるようになって参りました。 なお当院ではH23年より前歯部位には Strauman社 のBLタイプの利用が増えています。)
*インプラント治療を受けます患者さんは着脱式義歯を使用せず歯牙欠損部を放置している場合が多いので、臼歯部の咬合接触が回復すると顎関節への負荷が軽減するせいか、回復したはずの臼歯部の咬合がいつのまにか低位となる傾向も認められます。 新たに接触関係を緊密にする必要がありますが、見逃していますと強く接触する前歯のセラミックスが破損したり、徒に歯冠部の調整となれば形態も悪化したりしますので、臼歯部位も含めた前歯多数歯修復ではあらかじめ暫間的な修復で咬合の安定をはかることも重要でしょう。
*サイドスクリューやインプラントシステム固有のスクリューを使用する場合は、修復物の装着手順を写真・スライドで保存すべきでしょう。 アフターケアの観点から患者さんの通院が困難になった場合を想定しますと、近医に紹介依頼する際に必要な記録となります。 デジタル化していればメール添付も可能となります。 また多人数の術者をかかえる医院では担当者が退職する際の引き継ぎにも有効となるでしょう。
 

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